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厚生労働省は、省内に「地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会」を設置し、2021年5月26日に第1回を開催しました。
資料はこちら>>>地域における保育所・保育士等の在り方検討会
保育需要の減退を見越して議論?
開催要綱では、この検討会の検討課題として、
①地域における保育所等の役割に関すること
②今後の地域・社会情勢を踏まえた保育士等の在り方や確保方策に関すること
③その他保育所や保育士等の在り方に関すること
の3つをあげています。
これとは別に、会議に示された資料の中には、「現状から考えられる保育に関する中長期的な課題」として、4点を挙げています。
要約すると、
〇人口減少地域等で、既存の施設規模の縮小などの検討が求められること
〇地域で孤立する子育て世帯に対して、保育所や保育士の専門性を活かした支援を考えること
〇多様な子ども・家庭への支援の強化に関すること
〇今後の保育士の確保の課題、です。
厚労省・子ども家庭局保育課からは、「少子化社会対策大綱や、子ども・子育て支援新制度施行後5年の見直しに係る対応方針において、人口減少地域等における保育の在り方について検討を求められていること」、「保育所の利用児童数の今後の見込みは2025(令和7)年がピークとなる見込み」であるとの発言がありました。
こうした資料や発言等をみると、保育需要が減退する、という前提で、それを見越した論議をしようとしているようです。保育所需要が2025年をピークに減退することが予測されると仮定して、それに見合った政策転換をどう図るかを、厚労省なりに論じようというのでしょう。確かに、コロナ禍によって、少子化に拍車がかかったことは明白なものの、保育需要がそのまま減退するかどうかについては、今後精査する必要があります。
条件改善の視点がない
また、この間の待機児童対策で増やした保育の受け皿は、資格者の基準を認可保育所より規制緩和した地域型保育事業などを中心としていました。待機児童数は減ってきていますが、希望する保育所等に入れていない「隠れ待機児童数」は、2020年段階でも8~9万人も存在します。
たしかに、新たな支援ニーズへの対応も重要な論点ですが、保育条件改善の視点が欠落しているのは問題です。例えば、今回示された「保育を取り巻く状況について」の資料の中では、小学校で35人を上限とする少人数化がすすむことについて、まったく触れられていません。
保育現場は、常にギリギリの体制で保育を行なってきました。コロナ禍で、さらに過重な負担がかかっている現状を踏まえれば、今こそ、条件改善に舵を切るべきタイミングといえます。しかし、検討会の内容には、そうした視点がまったく見えないのです。
この検討会では、国際的にも劣悪な状態を放置したまま、人口減少や需要減に対応するとして、保育施設の統廃合を加速させたり、人口減少地域において保育施設を存続させるためとして、さらに規制緩和を推し進めるような方向が論議される恐れがあります。
今後、第2回の会合で、「主な論点や目指すべき方向性について整理をする」としたうえで「年末までにとりまとめを行う」としていますので、今後の論議に注目する必要があります。
※第2回会合は、6月28日に開催されています。内容は今後お知らせします。
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