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福祉や保育・教育を豊かに創造していくために~日本学術会議任命拒否に抗議します
全国民間保育園経営研究懇話会 事務局長 森山幸朗
日本学術会議は、学術の進歩に寄与することを使命として1949年に設立され、「学者の国会」とも呼ばれます。戦前、政府による学問への支配、とくに戦争利用の苦い経験を踏まえ、日本国憲法23条は「学問の自由は、これを保障する」として、学者の研究成果や発表は自由に認めるということを明確に規定しています。つまり政府からの強い独立性をもっているのです。
会員は学術会議の推薦にもとづき首相が任命しますが、それは形式的なもので首相は推薦された人を拒否できないのです。歴代内閣ではそう解釈されてきました。しかし、菅内閣は推薦された105人のうち6人の任命を、理由を示すことなしに拒否しました。推薦基準は、日本学術会議法の定める「優れた研究又は業績」が唯一のものであるのに、国民の批判が高まると、「総合的・俯瞰的な観点」という基準を持ち出しました。これは明白な違法行為です。これらの違憲・違法の疑問について一切説明をしないまま、学術会議のあり方が問題であると、論点ずらしに乗り出したのです。さらに、人事に関することなので明らかにできない、と詭弁を弄しています。これは、学問の自由への国家権力の不当な介入であるとともに、民主主義を破壊する危険な動きであります。菅内閣は憲法や法律を軽視して、強権的な政治手法をすすめる危険な性格が明らかになってきました。私たちが願う民主主義とは、どんな小さな意見も見逃さず、合意を図り、誰もが納得するような結論を導き出すことです。多様な考えや意見があるからこそ建設的議論が生まれ、新しい可能性が広がるのです。
今回、なぜ菅内閣は6人を任命しなかったのですか。なぜ理由を述べることをかたくなに拒否するのですか。任命しないことは法に違反し、理由を述べないのは民主主義に反します。国の最高権力者が「意に沿わないものは理由なく切る」と言い出したのです。これを許せば、同様の事がいろんな分野に広がり、多くのところで同じことが起き、権威に忖度する傾向が強まっていきます。福祉や教育、保育分野も例外ではなくなります。
この問題は、学者や研究者だけでなく、私たち国民の言論表現の自由や創造的文化活動のすべて、そして基本的人権に関わることです。学問の自由が脅かされ、科学と真理の探究が統制されたなら、福祉や教育、保育の創造は危機に瀕し、子どもたちの健やかな成長、国民の命と幸せな暮らしが脅かされてしまいます。
今こそ、平和と民主主義、基本的人権の日本国憲法の精神に沿って、声をあげ、行動を起すときです。私たちの先輩が築いてきた社会保障、社会福祉、教育・保育、医療の運動をいっそう発展させ、広げていくときです。学びを深め、学術会議の任命拒否に対し、反対の意思を示しましょう。
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