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2020.02.25
セミナーアピール~真に子どもの命と発達を保障する保育制度の確立を!

第40回民間保育園経営研究セミナーアピール 

真に子どもの命と発達を保障する保育制度の確立を!

子どもの虐待相談件数が増加し続けています。昨年度、全国の児童相談所(212か所)で15万9850件と、前年度より2万6072件(19.5%)増え、過去最高です。日本の子どもの貧困率は13.9%(2015年)で、7人に1人が「貧困」のなかで、子ども時代を送っています。特にひとり親世帯の貧困率は50.8%と高く、対策が急がれます。貧困は、虐待をはじめ、生活のさまざまな側面に影響を与えています。保育現場では、すでに子どもの発達保障と保護者支援を行なっており、その機能がより一層重要となっています。さらに地域の子育て家庭への支援も多岐に渡って求められています。国・自治体の責任で、その支援を実行可能にする人員配置と予算確保をすべきです。

 実施後5年目を迎えている子ども・子育て支援新制度は、当初から拙速な制度設計が指摘されたように、自治体や保育現場に混乱を招きました。抜本的な制度の改善が進まないことに加えて、幼児教育の無償化をめぐる混乱、公定価格の施設類型間の不公平、処遇改善の複雑な制度設計など、自治体間の格差も明らかになっています。地域で多くの保育関係者がつながって、こうした課題を共有し、自治体に要望をあげ、さらに国へ制度改善を働きかけてきました。保育現場の具体的な要求実態を基に、国民の世論をつくり、制度改善の運動を大きく広げていくことが、さらに必要です。

 保育士の確保と人材養成は、都市も地方も深刻です。資格要件の緩和や配置基準の切り下げではなく、正規雇用や専門職にふさわしい処遇の実現を可能とする保育費用(公定価格)の抜本的な改善が必要です。幅広い保育関係者・地域住民の願いを要求に束ねていくことが求められています。

 2017年の社会福祉法人制度改革は、現場の要求に基づくものではなく、国主導で具体化され、新たな困難をもたらしています。組織・会計の企業型への変更、財政措置のない地域貢献等々、本来国が果たすべき公的責任を社会福祉法人の「自主的」な取り組みに求めています。法人の大規模化の促進や連携法人制度の導入など、私たちが望む「憲法にもとづく権利としての社会福祉」が消えようとしています。法人経営に携わる者が、連帯してこの危機を打ち破っていく必要があります。

 憲法は国の最高法規です。憲法によって、国家権力を縛り、個人の人権を保障するという考え方が立憲主義です。憲法は立憲主義の立場に立ち、基本的人権の尊重、主権在民、恒久平和主義の3つの基本理念を定めています。しかし、2013年の秘密保護法、2015年の安保関連法(戦争法)の強行成立、立憲主義をないがしろにして改憲を執拗に唱える現政権、憲法は重大な危機を迎えています。これに対し、立憲主義と民主主義を取り戻そうと、全国津々浦々で若者が、学生が、学者が、女性が、年配の人が、労働者が、農業者が声をあげ続けています。そして「決してわすれない、諦めない、分断させない」と粘り強い運動を広げています。

 全国の保育関係者は日々の保育・子育てを通して、つながり助けあうこと、相手の意見に耳をかたむけて自分も意見表明をすること、他者を思いやること等を、子どもたちに伝えています。それは、武力による解決を正当化する戦争とは相容れるものではありません。新年にあたり「だれの子どもも殺させない」との誓いを新たにするものです。

 

1.保育条件の改善を求めて、国・自治体に現場の実態や要望を届けましょう。特に深刻な保育士確保の困難を解消するために、保育費用(公定価格)の改善を求めましょう。

2.福祉の市場化を許さず、権利としての福祉を求め、福祉関係者の連帯と共同をすすめましょう。

3.子どもたちに平和な未来を手渡すために、地域・園・法人でへ平和のとりくみを工夫しましょう。

4.各地域で合研集会や『ちいさいなかま』を積極的に位置づけ、保育内容の交流や制度の学習等、共同の活動を展開し、子どもを真ん中にしたつながりを広げましょう。そのとりくみの中で、経営懇の輪を大きく広げましょう。 

2020年1月15日 第40回民間保育園経営研究セミナー参加者