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2015.03.20
新制度施行直前! 自治体で広がる混乱…惑わされず、一つ一つ確認を

 新制度の施行が目前に迫る中、各自治体では準備をすすめようとしていますが、子ども・子育て支援事業の単価が明らかになったのは1月下旬、公定価格の本単価公表は2月という状況の中で、混乱が広がっています。

◆重要事項説明書のひながた~内容に要注意

 重要事項説明書のひな形が示されていますが、自治体によっては、園で作成している入園のしおり等のパンフレットをもとに、必要な項目を付け加える等でも構わないとしています。自治体が示すひな形は、国がモデルを作っているかと思われますが、問題がある箇所もあり、注意が必要です。

*利用者(保護者)を縛るような項目が含まれている
 『利用者の思想・信仰は自由ですが、他の利用者に対する宗教活動、政治活動及び営利活動はご遠慮ください」(大阪市・京都市・熊本市など)
この項目をもとに、署名活動や募金活動の禁止等、保護者の自主的な活動が縛られる危険性もあります。このような項目が果たして、必要でしょうか。

*利用の終了に関する項目について
保育の提供が終了する場合として、①小学校に就学したとき、②支給要件に該当しなくなったとき、③利用の継続に重大な支障又は困難が生じたとき、の3項目があげられています(京都市・熊本市・宇都宮市など)。しかし、③の重大な支障や困難とは何でしょうか。

*保育料等の滞納について
滞納があった場合は、過去の支払い状況を考慮し、本園の判断により退園とする場合がある、という記述があります(熊本市)。24条1項に基づき市町村の委託を受けて保育を行なっている保育所が、園独自の判断で、退園を促すことはあり得ません。直接契約の施設と混同している可能性もあります。

◆委託費の請求について
 静岡市の示した請求の様式では、保育所の場合も、「子ども・子育て支援 教育・保育給付費請求書(案)」とされています。しかし、保育所は、給付費ではなく、委託費です。給付費とは、公定価格から保護者負担分を除いた分ですが、委託費は公定価格全額です。

◆同意書は必要か?
 各種提出書類の作成等に追われている、という状況が各地から届いています。その中で、重要事項説明書とあわせて同意書の作成・提出を求める自治体があります。しかし、法律には、書面で同意を求めねばならない、とはなっていません。説明をすることが重要なのであって、同意書の記入や提出が重要・必要とはされていません。同意書がいらない地域もありますので、その後どう使われるかも含めて、自治体に確認しましょう。

<参考>内閣府令第39号「特定教育・保育施設および特定地域型保育事業の運営に関する基準」
第5条(中略)…重要事項を記した文書を交付して説明を行い、当該提供の開始について利用申込者の同意を得なければならない

◆自治体も大混乱~園長会等で、自治体と確認を!
 自治体側も、大混乱していることは事実です。園側も書類作成・提出等に追われていることと思いますが、上記のような問題点もありますので、気になることは、自治体に確認し、園長会等でも共通認識にしていきましょう。