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2015.02.04
一人ひとりの子どもの育ちが等しく保障される保育をめざして~第35回経営研究セミナーアピール

全国民間保育園経営研究懇話会は、1月12~14日に開催した第35回民間保育園経営研究セミナーにおいて、参加者のみなさんと一緒に、下記のアピールを確認しました。

第35回民間保育園経営研究セミナーアピール(案)
一人ひとりの子どもの育ちが等しく保障される保育をめざして
― 児童福祉法第24条1項の形骸化を許さず 公的責任による保育の質向上と保育士確保を! ―

 2015年、私たちは戦後70年を迎えました。子どもたちが健やかに育つためには、平和な社会であり続けることが大前提であることを、思い返さずにはいられません。

 昨年末に行われた衆議院選挙は、過去最低の投票率となり、全有権者に占める与党の得票率は25%程度にも関わらず、三分の二以上の議席を獲得しました。選挙結果をうけて安倍首相は、「(政権公約で)示している政策についてご理解をいただいた」として、憲法「改正」、原発再稼働、安全保障法整備、社会保障切り下げなどの政策を一方的に推し進めようとしています。しかし、与党が獲得した議席数は、小選挙区制の特性によって得たものであり、決して国民の意思の反映とはいえません。それは、選挙後も原発の再稼働反対など、多くの国民が草の根から疑問や反対の声をあげ、各地で新しい連帯の輪が広がっていることからも明らかです。日本国憲法はすべての国民に「法の下の平等」や「生存権」を認めています。貧困や格差を拡大させ、大企業や大資産家だけを潤おす「アベノミクス」に対し、「NO!」の声を広げることが、子どもたちの暮らしを守ることにつながります。

 今年4月より「子ども・子育て支援新制度」が導入されます。新制度には多くの問題点が指摘されており、子どもの最善の利益が確保されるか心配です。国が示している公定価格(仮単価)によれば、保育所、幼稚園、認定こども園の間での単価格差・収入格差が生じます。それは保育環境(人的、物的)に格差を持ち込むことであり、国が示した新制度の導入意義にも反するものです。私たちは保育所経営に責任をもつ立場から、このような問題点を見過ごすわけにはいきません。すべての子どもたちの健やかな育ちを保障するために、「児童福祉法」「子どもの権利条約」の理念の実現をめざし、よりよい保育制度づくりに粘り強く取り組んでいきましょう。

 今、国民が望んでいるのは、どの施設を利用しようとも、すべての子どもに最善の保育環境を保障することです。一人ひとりの子どもの育ちが等しく保障されることをめざして、私たちは次の行動に取り組みます。 

○  児童福祉法第24条1項の市町村の保育実施責任に基づく保育所経営をめざすとともに、保育需要への対応は24条1項に基づき保育所を基本とするよう、自治体に求めます。
○  保育士の専門性にふさわしい処遇改善、勤務時間内での研修・保育準備の保障、保育士不足解消のために、公定価格の抜本的な改善を、国・自治体に要望します。
○  子どもの権利を保障するため、公定価格に施設間格差を設けないよう求めます。
○  どの施設を利用しても保護者が安心して子育てができるように、保育時間の区分による負担増や保育料の値上げを行わないよう、国、自治体に要望します。
○  新制度の実施にあたっては、消費税以外の財源を確保するよう求めるとともに、先進国に例を見ない貧弱な子ども関連予算の増額を求めます。
○  地域の保育団体・園長会など、幅広い保育関係者や保護者と共同し、新制度の実施主体である自治体にむけて働きかけを継続的に行ないます。
○  社会福祉法人の専門性と継続性、公共性を維持し地域の願いに応える福祉事業を展開するため、社会福祉法人「改革」の動向を学び、他団体と共同して意見表明や取り組みを行ないます。 

        2015年1月14日 第35回全国民間保育園経営研究セミナー参加者一同